今回も「自己理解」について、前回に引き続きお話ししてまいります。
(前回のブログ「自己理解の重要性とは(1)自己を受け入れ、癒すこと。そして……」はこちらからどうぞ)
自己理解が私たちにもたらすのは大雑把には次のようなことだということで、
前回は下記のうち1~3についてお伝えしましたね。
1 自己受容
2 他者を受け入れられる
3 より良好な人間関係
4 より納得のいく決断
今回は、上記4についてお話してまいります。
あなたはその決断に心から納得しているか
例を挙げてみていきましょう。
Aさん(高校3年生)は、自身の進路を決めかねています。
大学へ進むか、専門学校へ進むか。
就職するのか。
お友達はそれぞれこんなふうに考えているそうです。
Bさん「将来は医者になりたい。だから医学部へ進学する」
Cさん「将来はパティシエになる。だから製菓専門学校へ行くつもり」
Dさん「観光業に興味があるの。だからまずは旅行会社へ就職してキャリアを積んでみたい」
Aさん「自分の将来について考えたことがなかったわけではないけれど、
自分の興味も価値観も、能力も強みもよくわかんないや……」
さて、Aさんはどうしたら自身の進路を決めることができるのでしょうか。
どうしたらより納得のいく決断ができるのでしょうか。
思い出していただくと、あなたも過去には
Aさんのように悩みながら、
進学や就職でご自身に合う決断をしてきた経験がおありだと思います。
まだ進学や就職の決断をしたことがないというかたも、
学校の日常活動の場面で、
どの部活動に入るかですとか、どの委員会活動をするかですとか、
理系を選択するか文系を選択するかというような、決断の場面があったかと思います。
そのとき何を基準にして決断してきたでしょうか。
仕事関係の決断ですと、
給与
知名度
働きやすさ
やりがい
社内教育の充実度合い
など
学校の日常活動の決断ですと、
活動のしやすさ
進学時のアピール材料にしやすいか
作業量
希望する進路に合致するか
など
いくつもの要素があると思いますが、それらの要素はあくまでも「ものさし」でしかありません。
給与の高い低いというものさしであり、
働きやすさの度合いというものさしであり、
進学時のアピール材料にしやすいかどうかというものさしであり……
そういった具合です。
おわかりのとおり、ものさしそのものは、良いとか悪いとかという基準ではありませんよね。
数あるものさしの中から、どれを使って判断しようかな?と
あくまでも「自分が大事にしたいものさし」を複数選び、使って決断をされたかと思います。
このとき「自分が大事にしたいものさし」がそもそもどれなのか、何なのか
ということを自分自身が理解していれば、どうでしょうか。
自分の価値観に合う納得のいく進路を選ぶことができ
充実した職業生活、学校生活が送れる可能性が高まります。
反対に「自分が大事にしたいものさし」が何なのかを理解していなければ、どうでしょうか。
自分の価値観に合わない進路を選んでしまい、
納得のいかない職業生活、学校生活となってしまう可能性もありますね。
「自分が大事にしたいものさしは何か」
これを理解することは「自己理解」の一つと言えます。
そしてそれが、より納得のいく決断をもたらしてくれるのです。
決断は毎日行われている
このように進学、就職といったキャリア選択など、
人生において重要な選択の場面では、自己を理解することはより納得のいく決断をもたらしてくれます。
先ほどの事例では、「自分が大事にしたいものさし」ということで自己理解の一例をお話しました。
これはつまるところ「価値観」という個人の内側にある側面から自己を理解すること、と言えます。
さて自己理解が重要なのは、なにも進学、就職のような数年に一度といった場面だけではありません。
「人生は日々の積み重ね」とよく言われます。
そして毎日、私たちは決断をしています。
今週末は自宅でゆっくり休もうか、それとも出かけようか。
今日の夕ご飯は、肉か魚か。
こういった日常生活のレベルでも決断を行っています。
自己を理解しておくことで、より納得のいく一日が過ごせる可能性が高まります。
そして、その積み重ねがより充実した人生を作っていくことにつながっていくのです。
あなたは決断できるか
あなたは次のような思いに、長いこと悩まされていないでしょうか。
こんなに頑張っているのに
・今の仕事(学校)がどうしても合わない
・ここは自分の居場所ではないのかもしれない……違和感しかない
・転職(進路の変更)するしかないのかな……
・自分が何者かわからない……
これまで頑張ってきた人ほど、このような思いを抱えているかもしれません。
そして、物事を大きく変える決断にはリスクが伴うという不安から
決断を先送りし続けているかたもいらっしゃるかもしれません。
(物事を大きく変えない、このままでいこう、と「心から納得する」ということもまた
一つの決断であることを申し添えます。)
自己理解を深めることで(価値観、能力、強み、興味等を理解することで)、
より納得のいく決断が可能になります。
ぜひ、ご自分の価値観等に気づき
納得のいく決断で
充実した人生を楽しんでいただきたいと願っております。
自己理解を深めて、より納得のいく決断を
前回と今回の2回にわたり、自己理解の重要性についてお伝えしました。
まとめましょう。冒頭でお伝えしたとおり、自己理解はこんなことをもたらしてくれます。
1 自己受容
2 他者を受け入れられる
3 より良好な人間関係
4 より納得のいく決断
※1~3は前回のブログでお伝えしております。
つまり自己理解は、より良い人生を送るために必要不可欠の取り組みである、
ということでその重要性を理解していただけたかと思います。
もし、自分の価値観や強みが分からない、
難しい決断を前に悶々としているなど困っているときは
一人で抱え込まず、その思いを信頼のおけるご友人やご家族に聞いてもらうのはとてもいい手段です。
聞いてくれる人、話せる人が見当たらないときは、カウンセラーを頼ってください。
自己理解を支援し、自ら納得したうえでの意思決定を支援できるのは
産業カウンセラー、キャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントと呼ばれる人たちであり、
それが仕事の一つでもあります。
あなたとみち応援室ではあなたがはなせるよう、じっくりとお聴きいたします。
ご一緒に考えていきましょう。
この記事があなたのお役にたてましたなら幸いです。