「転機」と聞いてあなたは何を思い浮かべますか?
受験や入社試験、卒業、入学、結婚、出産、引っ越し、離婚……
このようなライフイベントを転機として思い浮かべるかたもいらっしゃるでしょう。
ライフイベントでは確かに物事が大きく変わります。
それに伴ってあなた自身の役割が変わり、行動も変化させなければならなくなるかもしれません。
このため、これへの対処も比較的分かりやすいでしょう。
それは、新しいコミュニティのルールを理解して守ることであったり、
新しい役割を果たすことであったりします。
こういう場合は「転機」というより「変化」のほうがしっくりくるかもしれません。
それでは、転機とはどのような場合を指すのでしょうか。
転機は変化ではない
例えば、卒業して社会人になったとしても、
あなた自身がこれまでと変わらない場合には、
それは単に環境の変化、役割の変化(学ぶ人から働く人になった、とか)に過ぎません。
あなた自身としても、
卒業に伴って役割が変化することを予測しているでしょうし、たいていはそれを受け入れてもいるはずです。
(新しい環境でどんな困難が待ち受けているかを予測することはできなくても)
そしてこれはここで扱う「転機」ではありません。「変化」だとわたしは考えます。
もし、卒業→社会人というときに、これまでのやり方や考え方、
在りかたまでもが変わるならばそれは「転機」とだと考えます。
例えば、学生から社会人への変化のタイミングで次のような感想をあなたが抱いたとします。
「これまでは協調性であるとか、みんなと同じであることとかを求められてきて、私はそれに応えてきた。
しかし、就職した途端、オリジナリティを発揮してくれと求められる。
社内では自分と同じ仕事をする者がおらず、一人でその仕事を担当し、
上司はその決裁をするだけで、アドバイスさえくれない。
小学生からずっと培ってきた、
『周囲に歩調を合わせること』や『みんなで同じことをする』というやりかたが全く通用しない。
これからこの会社でやっていけるのだろうか」
これはひとつの「転機」だと私は思います。
ポイントはこれまで馴染んできた在り方を終わらせ、
新たな在り方(この例では、オリジナリティの発揮など)に自分を変えていく必要がある、という点です。
変えるといっても、どうしていいか分からないかもしれませんし、
分かっても行動に移すだけのスキルがないかもしれません。
会社として「こういうものを作ってほしい」というものがはっきりしていればいいですが、
実際そういうものではないでしょう。
「オリジナリティ」と一口に言っても、その中身ははっきりしたものではないでしょうし
「他社にはない、わが社独自のもので、かつ売れるモノ・サービスで、そして……」と正解がありません。
まだ目の前にはないものを創造するわけですから……。
うまくいくまでは時間がかかるでしょう。
これまでの自分の在り方を変えるわけですから。
また例えば、子育てが一段落した親が子供が巣立ったあとに次のような感想を抱いたら、それも「転機」でしょう。
「これまでは、親として子供の生活のサポートと経済的援助することが大きな役割だった。
しかし、その役割は終わってしまった。
これから何の役割を果たせばいいのだだろうか。
私より少し早くこの時を迎えた友人は
『これからは自分のためだけに時間を思いっきり使って、
テニスも、旅行も楽しむことにしたの。趣味に生きる人間になるわ』と生き生きしていたけれど、
私はどうしたらいいのかしら。
趣味?それとも仕事?ボランティア?推し活?
周りはあれこれ言うけれど、何がいいのか……」
このような場合も「転機」だとわたしは考えます。
(転機については過去のブログ「何かがうまくいかない…それは〇〇の始まりかもしれない」
も参考になさってくださいね。)
転機とは、あなた自身の「変容のとき」
このように転機とは、単なる変化ではなく、あなた自身の「変容のとき」のことです。
社会人になるというのは「変化」です。
また親の役割の終了というのも「変化」です。
もし、これら変化に伴って、あなたの在り方を変える必要性があるならばそのときは「転機」だとわたしは思います。
誰しも「変化」のときは戸惑います。
もし、いつもは右足から歩き出すのに、
ある日突然、必ず左足から歩き出すことが日本人のマナーですと言われたら(そんなことは絶対にないでしょうけど)、
慣れるまではかなり苦労するでしょう。
だからと言って、
左足から歩き出すことを実践するために「自分自身が変容を求められている」とはなりません。
「努力して慣れていこう」というくらいのものです。
一方で「変容」となると違います。
考えかた、在り方のレベルで変えていくことになるし、
さらに「どう変えていくか」がこの時点ははっきりしません。
自分で創造していかなければならないのです。
先ほどの「親としての役割の終了」の例では、
「自分がこれからどのように生きていったらいいのか」という、考えかた、生きかた、在り方のレベルで、
正解のない自分なりの「理解」を探し求めたり、創り出したりするフェーズにあります。
このようなとき、そこを乗り越えるために「変容」が必要になるのです。
転機はいつ訪れるのか。そしてその後はどうなるのか。
転機はいつ訪れるのでしょうか。
これはわかりません。
転機とは「予測不可能なものである」と言われています。
「変化」のときに「転機」も訪れるかもしれませんが、そうではない「転機」も存在します。
(わたし自身がまさにそのパターンでした。詳細は「カウンセラー紹介」をごらんください。)
このため、あらかじめの対処を講じることは大変難しいのですが、
転機を乗り越えた先には、変容を遂げた新たな自分との出会いと、新たな出発が待っています。
新たな自分で新たな人生の旅を生きるあなたのようすを見た他人は
「あの人、なんだか成長したね」と
きっと変容の結果としての「成長」をあなたの姿に見るはずです。
ひとりでは、転機に向き合えない、辛い、不安というときは
あなたの辛さを受け止め、キャリア形成、キャリア構築の支援ができるカウンセラーとともに
これまで歩んできたみちを振り返り、これからのみちをご一緒に考えてまいりましょう。
あなたとみち応援室は、あなたのキャリア形成、キャリア構築を支援します。
これまでのこと、これからのことをご一緒に考えていきましょう。
この記事があなたのお役にたてましたなら幸いです。