唐突ですが、お尋ねします。
あなたにキャリア形成の支援は関係あるでしょうか。
そんなこと突然言われても……と思いますよね。
ではこう問われたらどうでしょうか。
「キャリア形成の支援」と聞いてあなたはどんな感想を持ちますか?
次の1~5から選んでください
「キャリア形成の支援」と聞いてあなたはどんな感想を持ちますか?
次の1から5のうち、あなたの感想に近いものをひとつ選んでください。
1 え?キャリア?自分には関係なさそう。だからキャリア形成支援も関係ないでしょ。
2 職場や学校で言われたことをこなすだけでキャリアは形成されるから、わざわざ支援なんて必要ない。
3 そんなこと考えている暇はない。とにかく目の前のことに必死。でもいつかは考えなきゃいけないのかも……。
4 自分のキャリアは自分で考えており、支援なしでうまくいっている。
5 自分のキャリアは自分で考えており、支援を受けている。一人で考えていたときよりもずっと望ましい結果を手にしている。
ぴったりのものがないときは、近いものを選んでくださいね。
そもそもキャリアって何なの?というかたは、
過去のブログ「キャリアとは何か?あなたのキャリアの所有者は誰なのか?」も参考になさってくださいね。
選べましたか?
では、それぞれご一緒に見て参りましょう。
あなたにキャリア形成の支援は関係あるでしょうか。
1 え?キャリア?自分には関係なさそう。だからキャリア形成支援も関係ないでしょ。を選んだあなた
ご自身がキャリア形成の支援に関係があるかどうか、
また意味があるかどうかというよりは
ご自分のキャリア形成に「今は興味がない」という状態かもしれませんね。
興味がないものに興味を持っていただくことはとても難しいことだと思います。
今後もし、キャリアについて気になるときがきたら、
その時は「キャリア形成の支援」という文言やこの記事を思い出してくださいね。
2 職場や学校で言われたことをこなすだけでキャリアは形成されるから、わざわざ支援なんて必要ない。
を選んだあなた
職場や学校での日々の取り組みがキャリア形成につながっている
という認識を持っていらっしゃる状態かもしれません。
このとき、あなたが日々満足し、充実していると感じられる場合には問題になりません。
現在の状態に満足していらっしゃるのだと思います。
職場や学校の人間関係はまずまず良好で、
仕事や勉強にやりがいや充実感も感じているかもしれません。
反対に日々に不満があるなどの場合には、一度立ち止まって考えてみる必要があるかもしれません。
なぜ自分は不満なのか。
何に対して満足できていないのか。
もしかしたら、
「実は自分のキャリアについての見通しが不明確であることに気づいていない」状態かもしれません。
そういう場合には、キャリア形成の支援を受けることも考慮に入れてみてはいかがでしょうか。
3 そんなこと考えている暇はない。とにかく目の前のことに必死。でもいつかは考えなきゃいけないのかも……。を選んだあなた
忙しい毎日を送っていると、誰しも目の前のことを片付けようと必死になります。
真面目で一生懸命な人ならなおさらです。
そして、2との違いは、
ふとした瞬間「このままでいいのだろうか」という思いが頭をよぎったりすることです。
だからこそ「いつかは考えなきゃいけないのかも……」と感じるのでしょう。
人は学校や職場における評価基準や進路指導、昇進制度などがしっかりと設定されている場合、
それに従っていれば「とりあえず生活基盤は維持できる、とりあえず進学できる、だから安心だ」
と感じることがあります。
その安心と引き換えに、「このままでいいのだろうか」という心の声を抑え込んでいるのかもしれません。
また、周囲の期待に応えたいという想いから、
結果的に自分のキャリア形成を他人にゆだねてしまっている状態にあるかもしれません。
あなたがこういった状態なら、しっかり立ち止まって、
ご自分のキャリア形成について検討してみる必要があるかもしれません。
必要ならキャリア形成の支援を受けることも考慮に入れてみてはいかがでしょうか。
4 自分のキャリアは自分で考えており、支援なしでうまくいっている。を選んだあなた
うらやましい限りです。
これまでに支援を受けたことがあり、現在は支援なし、ということかもしれません。
一度も支援を受けていなくてもうまくいっている場合には、
もともとご自身のキャリア形成について素晴らしいセンスと能力を持っていらっしゃり、
そして上手に努力と工夫ができるかたなのかもしれませんね。
今後もし、キャリアについて悩むことがあったら
一人で抱えこまず信頼のおける他者に、はなしてみてくださいね。
キャリア形成の支援を受けることも一つの手段です。
5 自分のキャリアは自分で考えており、支援を受けている。一人で考えていたときよりもずっと望ましい結果を手にしている。を選んだあなた
上手にキャリア形成の支援を利用されているのですね。
そして支援を受けることで、視野がぐっと広がっているのですね。
一人で考えるより、信頼のおける他者と考えるほうが
ずっと視野が広がり、自己理解は深まります。
信頼のおける他者とは、身近な上司、先生という場合もあるでしょうし、
資格を持ったプロのキャリアコンサルタントや
プロのカウンセラー(産業カウンセラーなど)の場合もあります。
引き続き支援を活用し、自分らしく活躍なさってくださいね。
結局どれを選んでも
キャリア形成の支援って関係あるって言いたいの?
と思われるでしょうか。
そうなのです。
キャリア形成については、
現代では労働者自ら主体的に行うことが求められており(職業能力開発促進法第3条の3)、
働く人(また将来働くことになる人)にとって無関係ではなく、関係大アリなのです。
そして、自ら主体的に行うことが求められているといっても、どうでしょうか。
どうしたらいいのだろうと困ってしまいませんか?
自分が望むキャリアを形成するといっても
その方法をきちんと理解し実行できる人は少ないでしょう。
そもそも
自分がどんなキャリアを望んでいるのかさえ、わからなかったりします。
(わたしはかつてそうでした)
このため、自分が望むキャリアを自分で作っていくためには
プロによる支援を受けることも視野に入れたほうがよい、というわけです。
プロの支援を受けることで
物事がうまくいくようになった経験があなたにもあると思います。
わたしは飼っている犬のしつけについて困ったときプロのドッグトレーナーから指導を受け、
困りごとから脱出できた経験があります。
犬ではなく飼い主である人間側が指導を受け、
犬への接しかたや態度、飼い主としての在り方について学びました。
「しつけはいっときのことではなく、犬が生きている間はずっと続き、終わることはなく
飼い主としての学びも一生続くのだ」と態度・考えかたにまで影響を受けまして……と
これ以上語ると話題が変わってしまいそうですので、このへんで犬のしつけについてはストップしますが、
やはりプロは違うな~と実感する経験のひとつです。
プロの支援を受けなくても
本やインターネット記事からスキルを知ることはいくらでもできる時代です
(身につくかどうかはまた別問題ですが)。
スキルは、ものによっては時代の移り変わりによって陳腐化したり使えなくなったりもしますが、
プロの指導は単なるスキルの教授にとどまりません。
態度にまで変容を及ぼします。
そして態度の変容は一生ものの価値です。
プロの支援というのは、幅広く奥深いものです。
じゃあ、キャリア形成の支援って意味があるの?どんな効果があるの?
意味があるかどうかについて個人の感想はさまざまあると思いますので、
ここでは公的資料からどんな効果があるのかを見ることで
その意味の有無を考えて参りましょう。
厚生労働省が毎年公表している「労働経済の分析」という資料がございます。
「令和4年版労働経済の分析」では
キャリアコンサルティングが労働者のキャリア形成意識や
キャリア形成に及ぼす影響について、
さまざまな統計資料を基に分析がなされています。
キャリアコンサルティングとは、当該資料から引用して堅苦しい言葉で正確に表現すると
『労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、
助言および指導を行う活動を指』します。
なお、キャリアコンサルティングがどのような場で行われているかというと、
企業内やハローワーク、民間職業紹介会社、民間のキャリアコンサルティング会社、
大学や専門学校等教育機関です。
もしかしたらあなたがお勤めしている企業内でも
社員向けに行われているかもしれませんし、
あなたが通学している学校内でも「キャリアセンター」とか
「進路指導室」とかと呼ばれる場所で行われているかもしれませんね。
さて、令和4年版労働経済の分析によると、
キャリアコンサルティングが労働者のキャリア形成意識や
キャリア形成に及ぼす影響として次のような点が挙げられています。
キャリア形成意識やキャリア形成に及ぼす影響
①『キャリアコンサルティングを受けた者の方が、自ら職業生活設計を考えていきたいと考える者の割合が高い傾向がある』
②『キャリアコンサルティングの経験がある者の方が、現在の仕事内容や職業生活全般の満足感が高い傾向にある』
③『過去にキャリアコンサルティング経験のある者の方が転職回数は多い傾向にある』
④『キャリアコンサルティング経験がある者の方が、特定の分野の仕事に限定した職業経験を積むよりも、異分野へのキャリアチェンジを積極的に行う傾向がある』
⑤『キャリアコンサルティングの経験がある者の方が、自らの職業能力が他社で通用すると考えている者の割合が高い。また、自らの職業能力が他社で通用すると考えている者には、キャリアコンサルティングを企業外で受けている者の割合が比較的高い傾向にある』
⑥『キャリアコンサルティングの経験がある者は自発的な能力向上の取組を行うことが必要と考える者の割合が高い。相談場所・機関別にみると、企業内よりも企業外や学校等でキャリアコ ンサルティングを受けた場合の方が自発的な能力向上の意識が高い者が多い傾向がみられる』
⑦『キャリアコンサルティングにより、現在の仕事に対する影響に加え、「自分の目指すべき キャリアが明確になった」「自己啓発を行うきっかけになった」といった、キャリアに関する意識や行動への良い影響を感じている』
⑧『企業内でキャリアコンサルティングを受ける場合は、キャリアの見通しの向上のほか、職業能力の向上、労働条件や人間関係の改善といった変化を感じている者が多い。企業外や公的機関でキャリアコンサルティングを受ける場合は、キャリアの見通しの向上のほか、就職や転職に結びつく者の割合が高い』
⑨『キャリアに関する相談先は、相談先が企業外部の場合、正社員については「自分の目指すキャリアが明確になった」「自己啓発を行うきっかけになった」とする割合が、正社員以外 については「自己啓発を行うきっかけになった」とする割合が高い』
(令和4年版労働経済の分析(厚生労働省)p221~p228から引用。ただし丸数字は本ブログ作者が便宜的に附番しました。)
いかがでしょうか。
とてもたくさんありますね。
なんだか良い影響がありそう……
と感じるかたもいらっしゃるでしょうし
え……?それってどうなの……?
と不安に思われるかたもいらっしゃるでしょう。
これらキャリアコンサルティングが
労働者のキャリア形成意識やキャリア形成に及ぼす影響について、
「労働経済の分析」では具体的にどのようなことが書かれているのでしょうか。
それらについては、次回のブログでお話しして参りたいと思います。
どうぞお楽しみになさってくださいね。
あなたとみち応援室は、あなたのキャリア形成、キャリア構築を支援します。
これまでのこと、これからのことをご一緒に考えていきましょう。
この記事があなたのお役にたてましたなら幸いです。